2017年12月18日月曜日

ヨハネス・グライナー著『ロックミュージックのオカルト的背景』好評ファンディング中につき、冒頭を一部公開!



2017年11月27日〜2018年1月31日まで行われているクラウドファンディング・プロジェクト「ロックミュージックの源流を解き明かす書籍『ロックミュージックのオカルト的背景』を翻訳出版したい!」。好評ファンディング中につき、冒頭を一部公開致します。ファンディングが達成されない場合、本書は出版されません。是非この機会にご支援宜しくお願い致します。


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ヨハネス・グライナー著
ロックミュージックのオカルト的背景
アレイスター・クロウリーと深淵からの獣の浮上


バケモノと闘う者は
自分もバケモノに成ってしまわぬ様に心せよ
お前が深淵を覗き続けるならば
深淵もまた、お前の中を覗き込んでいるのだから


この様にフリードリヒ・ニーチェは、自らの著書『善悪の彼岸』の中で警鐘を鳴らしていますが、ロックミュージックのオカルト的背景に取り組む場合にも、これと同じことが言えます。何故ならこの音楽を探求する眼差しには、そこに精神的な衝動を与えた人物はルドルフ・シュタイナー最大の敵対者のひとりである、ということが明らかになるからです。それはイギリスの扇動者であり、魔術師であるアレイスター・クロウリーのことなのですが、彼は私たちが今日「娯楽音楽」として親しんでいるものの発端に立っています。そして過去六十年の娯楽音楽の発展の中で例えば:ロック、ポップ、ロックンロール、ブラックメタル、デスメタル、スピードメタル、ヘヴィーメタル、ラップ、ヒップホップ、テクノ、ハウス、ゴアトランス、パンク、グランジ、インディー・ロック、ドラムンベース、ゴシック・ロックなどの様々なジャンルが確立されて来たのです。これらの音楽ジャンルの共通点は殆ど全てが電気的に再現(注1)されているということと、機械的なリズムが使用されているということです。そして本書における「ロックミュージック」という言葉は、こうした「娯楽音楽」の多様なジャンル全体を代表するものとして理解して頂ければと思います。

この音楽は現代の文化に於いて、文字通り「何処からも」聞こえてきます。それはデパートであれレストランであれ、或いは飛行機の機内や公衆便所、また電話が掛かって来た時には着信音として、掛けた時には呼び出し中にも、更には待たされている時には保留音としても流れてきます。そして自然の中へと赴けばキャンプ場から、或いは自分の子どもの部屋から、また車に乗ると自動車のカーステレオから、ディスコに行けば大音量で、そしてフィットネススタジオでも音楽が流れています。また市街地に出てみると、通りを歩く人の多くがヘッドフォン(イヤフォン)をしています。この小さな電子機器からも音楽は絶え間なく鳴り続け、それは人間を現実の「音響的環境」から切り離しているのです。この様に現代の文明生活に於いて、音楽の聞こえて来ない場所は無いと言えるでしょう。しかし、これだけそこかしこに「音楽」が溢れているにも拘らず、この様な現実を生み出した「背景」については、誰も踏み込んで考えようとはしません。それは丁度、自分が今立っている絨毯を無闇にめくろうとはしない様なものです。そして、その「背景」を考慮しない生き方は、人間が客観的な認識に至ることを妨げます。だからこそ正に、この様な音楽の「背景」と、その「効力」に向かい合うことが肝要なのです。


第一章:意志の哲学の系譜

もう数年前のことなのですが、私はヴァルドルフ学校の教師として中高生を相手に以下の様な「実験」をしました。先ず私は多岐に亘る音楽ジャンルの、様々な楽曲のCDを用意して生徒たちに聞いて貰います。そして音楽を注意深く聴いた上で、そこで「体験したこと」を生徒たちに言葉にして貰ったのです。生徒たちには先ず「どの体の部位で、その音楽を感じているか」という体験を述べて貰いました。そして次に、その音楽がどの様に作用し、それが一日のうちでどの時間に合っているのか、更にはどんな状況が合っているのか、ということについても述べて貰ったのです。そして私にとって興味深かったのは、誰もが殆ど同じ様なことを口にしたということです。

先ず、いわゆる「クラシック音楽」と呼ばれているものは、基本的に頭と横隔膜の間の何処かに位置していました。中でも管楽器の曲は頭の領域、そして管弦楽(オーケストラ)やロマン派のピアノ曲などは、胸の領域を感じました。何れにせよ古典派やロマン派の音楽は全て、体の上部と中部あたりに止まりました。ところがポップ、ロック或いはスピードメタルを聴いたとき、生徒たちは横隔膜よりも下の領域を感じ始めました。いわゆる「娯楽音楽」と呼ぶことが出来るものは腹に、さらには骨盤に、そして生殖器にも響いてくるのです。

ですから大雑把に言ってクラシック音楽が「人間の上部」に効くのに対して、娯楽音楽と呼ばれているものは「人間の下部」に作用するものだ、と表現することが出来ます。それはエモーショナルな感情を掻き立て、そして意志の力に鞭を入れて鼓舞するのです。


エルヴィス・プレスリーの“腰つき”

エルヴィス・プレスリーの活躍した、前世紀50年代半ばのミュージックシーンに目を向けてみましょう。それはロックミュージックの黎明期なのですが、中でも注目すべきは、この年代あたりでダンス(踊り)のスタイルが変わった、ということです。それまでのダンスに於いて、腰あたりは上品に、また巧みに「仕舞い込まれて」いました。ところがエルヴィス・プレスリーの「動きの始点」は正に、その巧みに覆い隠されてきたポイントだったのです……(続く)



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  1. スピーカーから流れてくる音は――録音であれライブであれ――全て「再現された音」だと言える。何故なら空気の振動としての音は一旦マイクを通して電気的な振動に変換(入力)され、この電気信号がスピーカーを通して改めて空気の振動として出力(変換)されるからである。


本書の目次をご紹介


ヨハネス・グライナー:ロックミュージックのオカルト的背景

第一章:意志の哲学の系譜
・エルヴィス・プレスリーの“腰つき”
・ロックミュージック:文化になった“魂の叫び”
・ショーペンハウアー:意志の素晴らしさの発見
・ニーチェの“超人”:本能と意志の怪物
・国家社会主義(ナチズム)の“統治人”

第二章:アレイスター・クロウリー
・識者パウロ・コエーリョの証言
・古代エジプトの影
・『法の書』
・ヒトラー以前に“我レ在リ”
・タントラの復興
・セックス、ドラッグ、ロックンロール

第三章:ロックスターたちとのつながり
・ビートルズの八枚目のアルバム
・ローリング・ストーンズとケネス・アンガー
・レッド・ツェッペリンとリバース・スピーチ
・イーグルス、ビートルズ、クイーンでのリバース・スピーチ
・ラック・サバスとオジー・オズボーン
・ラウール・シェイシャス「ソシアダーデ・アルテナティーヴァ」パウロ『オルタナティブ社会』
・ブラックメタル:信仰告白という側面
・満たされぬ精神的なものへの憧れ

第四章:魂を抜かれた“大衆”、手懐けるべき獣そして人類の病
・ヒトラーの演説、サッカーの試合、ロックコンサート
・自我の発達と神
・棄てられた自我の行方
・深淵の獣を文化に
・エーテル体の危機
・音楽の四要素

解説・竹下哲生:近代と現代の分水嶺としての十九世紀
・戦後音楽史の転換点
・現代に於いて「音楽」として認知されているもの
・西洋芸術史に於けるクラシック音楽の位置付け
・世界初のアーティスト
・熱狂する「ファン」の登場
・引き裂かれるヨーロッパ音楽
・克服されていない近代ヨーロッパの影
・中産市民階級の文化の行方
・バック・トゥ・ザ・フューチャーのアメリカ文化史
・不透明な現代と過去への憧れ
・後期ロマン派に見られる衝動
・カデンツの牢獄
・ルドルフ・シュタイナーの音楽衝動
・三度音程から二度音程へ
・和楽器の可能性と音楽の未来

続く……




Johannes Greiner ヨハネス・グライナー
ピアノ教育を専門とする音楽家(SMPV)でありオイリュトミスト。ピアニスト、指揮者として活動し、音楽史や文化史、或るいはアントロポゾフィーに関する講演や講座を各地で開催しており、また教師としてヴァルドルフ学校の生徒に授業もしている。アントロポゾフィー協会の仕事としては2005年からスイス邦域協会の理事会に参加し始め、2006年より正式に選任された理事としての活動を始めている。主に取り組んでいる課題は現代に於ける文化的な現象の背景を、アントロポゾフィーの視点から解明することと、もしルドルフ・シュタイナーが現代に生きているならば、何を言い、そして何を行うであろうかという疑問。


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