2016年1月4日月曜日

年始の御挨拶と夏の集中講座の予定

Goetheanum photo by Yuta Takahashi


明けましておめでとうございます。

昨年同様、今年2016年も世界は様々な課題を抱えて歩んでいくことになることでしょう。そんな中、皆さまの御健康をお祈りすると同時に、クライス理事も日本に於けるアントロポゾフィー発展の為に今年も力を尽くして参りたいと存じますので、御援助を賜ります様、宜しくお願い申し上げます。

さて私共クライス理事は2015年々末に会議を開き、今年の8月27日(土)15時から翌28日(日)13時迄、一夜を挟んで宇多津で計画されている夏の集中講座について話し合いました。その集中講座は今までにも増して興味深くバラエティーに富んだ催し物となる筈です。と申しますのもドイツ・アントロポゾフィーの様々な分野で活動をしておられる数名の方々が吉田和彦&恵美夫妻の引率に因って日本旅行をする際に四国に立ち寄って下さり、ドイツではすっかり日常生活に浸透しているアントロポゾフィーの現状についてそれぞれの立場から語り、四国ないしは日本のアントロポゾフィー活動に勢いを与えて下さるからです。

吉田和彦氏は「アントロポゾフィーが100年実践されてきたという事実が、意識的にせよ無意識にせよ今のドイツの土壌を成している」と語ります。ドイツのヴァルドルフ幼稚園や3年後に創立100周年を迎えるシュタイナー学校の増加傾向は衰えず2015年5月の時点で556幼稚園と232校に及んでいます。街の至る所には無農薬や有機製法の食料品店やドラッグストアーが立ち、こちらも新しい店舗がどんどん増えているそうですが、そればかりかデメターやヴェレダの製品は普通のスーパーでも手に入るとのことです。そして駅の電光広告版ではヴェレダの製品が大々的に宣伝されています。普通医学やホメオパシーに並んでアントロポゾフィー医学にも保険が適応されます。またアントロポゾフィーの銀行は数年前の金融危機の時にも「ここだけは潰れない!」と太鼓判を押されました。

吉田氏は更に「アントロポゾフィーとは直接関係なくてもドイツ全体の思考の中にはアントロポゾフィーの影響が及んでいる」と語ります。福島の事故でドイツが原子力発電からの完全撤退を決定したしたことはまだ記憶に新しいのですが、昨夏のクライスでの集中講座『死の誕生・生の誕生』でヨハネス・グライナー氏が語ったように、そこにはドイツ人の意識の中に『悪』についての認識が潜み、その悪は第二次大戦中にナチスを動かさせた悪が変容したものであるという予感が無意識の中に存在するがゆえに、ドイツ人は原子力に対して敏感なのです。ドイツ人はまた現実をしっかりと見つめています。ミュンヘンでの住民投票で冬季オリンピックの誘致が否決され、つい先日にはハンブルクの住民投票で夏季オリンピックの誘致も否決されました。様々な問題が山積みなのにオリンピックに金をかけている場合ではない……というのがドイツ人の考え方です。一方日本では大震災に因る被害や福島の問題も解決していないのに東京オリンピック開催にうつつを抜かしています。この違いはどこから来るのでしょうか? アンゲラ・メルケル首相の今年の新年に向けての演説はその殆どが難民問題についてでしたが「私たちは過去から学ばなければならない」として、人間を差別したり選別するのは間違いで、死に直面してドイツに救いを求めて逃れてくる人を全て受け入れることは当然のことである……という姿勢を貫き、その為に時間や労力やお金がかかるのは当たり前だと語りました。

こうした僅かな例を見ただけでも、ドイツ全体の意識は他のヨーロッパ諸国に比べて一歩先を行っていると言えるのではないでしょうか? そしてそれがアントロポゾフィーと無関係であると言い切れる人はいないと思います。そんなドイツの中でアントロポゾフィーを基盤として働いている方々がクライスの夏の集中講座『日常生活に密着したドイツ・アントロポソフィーの現状報告・日独シンポジウム2016 in 四国(仮題)』に於いて様々なエピソードを語り又参加者の質問にも答えて下さいます。

予定されている講師陣(変更の可能性有り)は次の通りです:

  • カタリーナ・クラウディア・クルさんは幼児教育及び治癒教育者で、アウグスブルクのルドルフ・シュタイナー学校で働いています。子供を観ることに関しては多くの経験をお持ちです。宇多津ではシュタイナーの幼児教育についてお話頂きます。
  • ラルフ・アウテンリートさんは治癒教育者で、普通のシュタイナー学校の勉強についてゆけない多かれ少かれ問題を抱えた生徒が通っているミュンヘンのパーシファル学校で働いています。彼は治癒教育について語って下さいます。
  • ルート・ローデンアッカ―さんはミュンヘンのシュタイナー学校でフランス語と宗教(クリステンゲマインシャフト)の授業をされています。シュタイナー学校に於ける外国語授業と宗教授業がなぜ大切なのかについてお話頂きます。
  • トーマス・マールさんはシュトゥットゥガルト・クリステンゲマインシャフト自由大学の建物の管理者です。アントロポゾフィーに於ける建物の管理や美化が、そこに宿う精神性にどう影響するのかを話して頂きます。
  • ガブリエル・アウアーバッハさんは税理士で、ミュンヘン・アントロポゾフィー協会の会計を担当しています。アントロポゾフィーではお金についての考え方が普通のそれよりもかなり異なりますが、いままで日本ではこの分野での話を聞ける機会があまりありませんでした。単なる報酬としてではないお金の本質とは何か? アントロポゾフィーの銀行は普通の銀行とどこが違うのか? そうしたことを8月27日夜の公開講座でお話して頂きます。
  • クリストフ・ブッシュマンさんはアントロポゾフィーの医学博士で、長年アウグスブルクのシュタイナー学校々医を務め同校の職員会議ではアントロポゾフィー講座を担当していました。現在ドイツ・シュタイナー学校オイリュトミー療法研修会主宰者の一人です。集中講座では講演ではなく『質疑応答』形式でアントロポゾフィー医学についての様々な質問に答えて下さいます。
  • ロージー・ルイジンガーさんは芸術療法士でミュンヘン・アントロポゾフィー協会評議員の一人です。又エジプト学の専門家で文化エポックに長けています。彼女には参加者の為に療法的なフォルメン線描を指導して頂きます。
  • オイリュトミー療法修士の吉田恵美さんが今年も参加者の為にオイリュトミーを指導して下さいます。恵美さんもドクター・ブッシュマン同様ドイツ・シュタイナー学校オイリュトミー療法研修会主宰者の一人です。
  • 音楽家の吉田和彦さんは今年も集中講座全体のコーディネートを担当して下さっていますが、彼はこの夏7月にフィンランドのラハティという街で開催されるアンカヴァーリング・ザ・ヴォイスの大きな国際講習会に講師として招かれ、同じく講師として招かれているペーター・セルク氏を始めとした方々との仕事を終えた直後の来日ということですので、時間が許せばそのお話もして頂けたらと考えています。

集中講座の最後にはパネル・ディスカッションという形で、それぞれの職業分野を結びつける精神的な糧としてのアントロポゾフィーに焦点を当て、100年の経験を活かすドイツから日本のアントロポゾフィーは何を学ぶことが出来るのかを参加者の皆さんと共に考えてみたいと思います。

初心者・経験者・年齢などを問わず、多くの方に今年の夏の集中講座にお越し頂きたいという願いから、この案内をもちまして、四国アントロポゾフィークライス理事一同の年始の御挨拶とさせて頂きます。

2016年元旦

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