
まず、自然界の渦では鉱物、植物、動物、人間の中の渦巻きを、紋様の渦では裏と表が向かいあった対称形、出たり入ったりをくり返していく点対称の形、時計回りで上昇方向と反時計回りで下降方向、周辺から入って中心に到達する形、右巻きと左巻きの渦を繋いだ形などを観ていきます。
こうして見ていくと、渦がいかに存在そのものやその運動の中で、大きな役割を果たしているかがよくわかりますし、文化の中にもとても深い関わりを持っています。しかも全体を俯瞰すると「生命」との繋がり、と言うよりも死も含めた生命力そのものの造形ではないかと思えてきます。
それは二つのエネルギーがぶつからずにバランスをとっていく最良の形なのでしょう。生命力は物質的な空間がなければ自らを発現できないのですが、生命エネルギーにはこの空間的要素と「生きている」という時間的要素があります。そのどちらもがお互いに調和を保つための造形がこの「渦」なのでしょう。渦という造形力には、今私たちがどっぷりと渦中にいる「勝つか負けるか」とか、「正しいか間違っているか」といった二元論的な世界を調和させてくれるような鍵を握っているかもしれませんね。
