2014年3月19日水曜日

色彩を通じて芸術の源泉を体験する:『オイリュトミーぬりえ』吉田恵美〔著者〕インタヴュー








日本とヨーロッパで同時発売となった『オイリュトミーぬりえ』。今回、本書の著者である吉田恵美氏に、新しい試みとして出版された『オイリュトミーぬりえ』について、インタヴューを行なった。

Interviewer: Yuta Takahashi

——オイリュトミーについて教えてください。

吉田恵美(吉田):オイリュトミーは「動きの芸術」で、言葉や音楽の本質や法則性を動きで表現する芸術です。その法則性というのは、言語器官が行なっている言葉の母音や子音の動きを、ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner 1861- 1925)が体全体を使って表現する芸術として20世紀初めに創立したものです。

——現在は、どういった分野で活用されていますか?

吉田:現在では教育分野においてシュタイナー学校や幼稚園で子どもの発達を助ける為に授業として行なわれたり、オイリュトミー療法として病院や治療施設でセラピ-として役立てられたり、ソーシャルオイリュトミーとして会社や事務所、工場で、人間関係を円滑にする為に使われています。

——今回、ぬりえを出版した経緯について教えてください。

吉田:オイリュトミー公演で障碍者施設や老人ホームを訪れた際、昼休みや余暇にぬりえを楽しんでいる人をよく見かけました。ほとんどの人が曼荼羅を塗っていました。何か他に良いモチーフはないか、と考えたときオイリュトミーを学んでいた当時にシュタイナーのスケッチを写し、色づけしていたのを思い出しました。

——これまでオイリュトミーフィギィアーのポスターや、フィギィアーを図版に納めたブックはありました。それらを眺めるだけでなく、「ぬりえ」を行うことにはどんな意味がありますか?

吉田:オイリュトミーの動きを三色で表すことで、クライトの動きは思考(エーテル的)、ヴェールは感情(アストラル的)で、キャラクターには意志(自我)の要素が入っているとシュタイナーは語っています。

でき上がったものを見る、という行為も動きの中に入ってゆく助けになりますが、自分で色を塗ることによって、一つ一つの色の中に入ってゆくことが可能となります。一つ目の色が体験されて、二つ目の色が加わった時、「色の対話(コレスポンダンス)」というか、二つの動きの関係性が体験されます。そこに三色目の色が加わった時に始めて、一つの「音」として完成する、「動きになる」様子が体験できます。

ポスターを眺めているだけだと、一つの写真のような、像としての存在がそこにあるだけですよね。自分で塗ることによってプロセスの中に、動きの過程の中に入ってゆける。自分が色の中に入ってゆくので、客観的な「物」としてではなくて、自分がオイリュトミーの「動きそのものになれる」ということです。

——このぬりえでは、フィギィアーの色彩表現がまだらではない、均一なべた塗りの表現方法が採用されました。この新たな表現方法について何か考えはありますか?

吉田:シュタイナーはオイリュトミーフィギィアーの表現方法で、三次元空間ではなく、エーテル的な四次元空間を表したかったのです。その時に「平面」ということを強調しています。「面」ということですね。そこで色の表現方法において濃淡があると「風になびいている」ような、三次元的な要素が入って来ます。しかし平面的に塗ることによって、色自体がエーテル的な色として、——エーテル的な色は混じらず、かつ各々の色が同時に存在出来て——平面として調和しているものが表現されます。色の背後から光が輝きでるように表現するのは、印刷では難しいですね。



——私たちにとって「色の体験」とは何でしょうか?

吉田:例えば芸術家が、朝目覚めた時に「インスピレーションが降ってきた」とか、眠っている時に体験している、この現実空間ではない世界、芸術のインスピレーションの根源にある動きや言葉、音楽的要素……宇宙の空間にある芸術の源泉と色を媒体として一体になることです。

——では最後にまとめとして、日本の方へのメッセージをお願いします。

吉田:ぬりえを通じて色彩の響きや調和を芸術的に体験することで、色の客観的な動き、「個人的なもの」を超えたところにある「普遍性」や「美しさ」の体験にいたります。それによって自分自身の心や体が調和され、自分と社会、他の人との関係性の向上の手助けになればと思います。

ここに描かれている「母音」や「子音」などのオイリュトミーフィギィアーの動きは、未来の人間の「原型」みたいなもので、違う存在だからこそ調和して、共存でき、「新しい可能性が生じる」といったことも感じていただければと思います。

——今日はありがとうございました。

吉田:ありがとうございました。


吉田恵美(オイリュトミー療法修士 ミュンヘン在住)
1960年宮城・石巻生まれ 青山学院女子短期大学臨床心理学専攻 1986年ミュンヘン・オイリュトミー学校入学 1989年ディプロム取得 1994年障害を持つ児童の為のアウグスブルク・シュタイナー学校の創立に関わり、その当時から同校で治癒オイリュトミーと一般オイリュトミーを担当 1996年からはミュンヘン・アレフ・アンサンブルのメンバーとしてヨーロッパ各国で公演 2007年春の国際オイリュトミー大会ではゲーテアヌム・大ホールにてシュタイナー・フォルムによるソロ音楽オイリュトミーを公演し大好評を博す 2008年春にゲーテアヌムで開催された第1回オイリュトミー療法士国際会議に於いては講師を務める 2012年秋、ボン近郊アラヌス大学にてオイリュトミー療法・修士号を取得 現在ミュンヘン・アントロポゾフィー協会理事 2006年ドイツ国籍取得
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