2012年12月31日月曜日

光と色彩:竹下哲生

ベルギーの首都ブリュッセルの夜 Foto: Romain Ballez



少しでも色彩に興味がある者は、光に対して無関心ではいられない。

アメリカの発明王、トーマス・エジソンによって電球が発明されたのは1879年のことだと言われているから、それ以前に人類は電気による光源を知らなかったことになる。我々は太陽から来る光を「自然光」と呼ぶことに慣れているが、電気による「不自然な」光が一般的なものとなるまでは人工の光と「自然な」光を区別する必要も無かったのだ。確かに、文明開化の象徴と言われたガス灯の歴史は電球のそれよりも一世紀長いし、蝋燭やランプは紀元前から知られている。しかし、それらは飽くまでも「火」であって、「光」の要素は余り強くない。何れにせよ永い人類の歴史に於いて、太陽以外の「不自然な」光源から色彩が生じるようになったのは、最近のことである。そして色彩について考えるとき、光源についても考察しなければいけない状況もまた、現代特有の問題であるといえる。


2012年12月14日金曜日

ルドルフ・シュタイナー:『秘教的考察-カルマの諸関係』【上松佑二氏 講演会】

info
ルドルフ・シュタイナーは晩年,最も重要なテーマは何ですかと質問された時、「カルマ論」と答えています。それは1903年の「自然科学の観点からの必然の表象−再受肉とカルマ」以来のテーマであり、1910年の「カルマの啓示」から「バラ十字神秘劇」(1910年-1913年)の中心テーマであり、最終的には1923年のクリスマス会議をヘて1924年2月16日から始まった82回の連続講義『秘教的考察-カルマの諸関係』においてその頂点を迎えます。そのテーマは「カルマの力の形成」から「個人の人生のカルマの考察」、「人類の歴史的生成に関するカルマの考察」、「アントロポゾフィー協会のカルマ」にいたるまで、ドルナッハを中心にプラハ、パリ、ブレスラウ、アルンハイム、トゥルカイ、ロンドン等各地で行われたものであり、ゲーテアヌム建築はカルマを観る教育になるとも語りました。


2012年12月13日木曜日

シュタイナー教育の不思議——ドイツの現場から



12月13、14日とミュンヘン西シュタイナー学校ホールで行われるオイリュトミー公演のポスター


文:吉田和彦
Text : Kazuhiko Yoshida
この3日間大雪に見舞われた南ドイツ。今日は快晴だが気温はまだマイナス4度。その真っ白になった道を走り私は今ミュンヘン西シュタイナー学校ホールでの3時間に及ぶオイリュトミー舞台プローべを終えて帰宅した。明日・木曜日とあさって金曜日の2晩、そこでは12年生全員によるオイリュトミー公演が催されるのである。メイン・プログラムはラフマニノフ作曲のピアノ曲・コレッリの主題による変奏曲。20の変奏曲に間奏とコーダ(終奏)が加わった大作である。その全曲を12年生の生徒たちが動きの芸術であるオイリュトミーを通して舞台公演する。9月に新学期が始まって以来、毎週月・水・金の午後2時から5時まで、生徒たちはこのオイリュトミー公演の為に準備をしてきた。そして先週と今週はもうオイリュトミーの授業しかないのだ。その時間を利用して舞台衣装も自分たちで縫い、照明のセッティングなども行い、街の商店にポスターを貼りに行く。

舞台で懸命に練習に励んでいる彼らを見ていると私はいつも不思議な気持ちに駆られる。というのも彼らは日本でいえば高校3年生。日本の高校3年生が受験を控えてどういう状態に置かれているのかは説明するまでもない。ところが彼ら12年生の頭の中には受験のことなど微塵も存在しない。少なくとも今は……。それどころかシュタイナー学校12年生の必修カリキュラムはオイリュトミー公演ばかりではなく、音楽発表会、演劇、年間研究発表と盛りだくさんであり、また多くの生徒が12年生の内に自動車免許を取得する為に教習に通うので、机に向かって勉強などしている暇がないのである。それなのにである。シュタイナー学校の進学希望者は私が知る限り問題なく大学に進学するのだ!しかもその多くが優秀な成績で……


2012年12月10日月曜日

【レポート】スイス・フランス・ドイツを巡るヨーロッパ理事研修旅行を振り返って



2011年3月11日、四国アントロポゾフィークライスの当時の理事会は研修旅行によりヨーロッパ滞在中で、現地時間同日の昼過ぎにミュンヘンの地下鉄にて、見ず知らずの乗客から大震災の一報を聞かされました。翌日、クライス理事会は震災の影響で大混乱だったミュンヘン空港から帰国の途に着き、再び日本の地を踏んだのは1号機の水素爆発の後でした。

このような状況から、研修旅行での体験報告は長らく日の目を見ることは有りませんでしたが、震災から二年が過ぎようとしている今、ルドルフ・シュタイナーの生誕150周年に合わせて、クライス理事会がゲーテアヌムの建つスイスを始めとしてフランス、ドイツの各地を回った研修旅行の体験を、ここで報告したいと思います。


2012年12月1日土曜日

12.14 R.Steiner 著『神秘学概論』を読む(月一回)



四年ほど前からルドルフ・シュタイナーの著作『神秘学概論』を読んでいますが、未だ10ページほどしか読み進んでいません。しかし、その間に自然と芸術の関係、服装、四つのエレメント、社会問題、仏教、九つのヒエラルキー、射影幾何学、植物の構造、ルネサンス芸術、教育、哲学などの様々なテーマについてアントロポゾフィーの観点から取り組んできました。

今後も書物を「読み進める」ことではなく、身近な疑問を本質的な問い掛けへと変容させてゆくことで、現代を生きる人間の精神的な糧を得ることが出来ればと考えています。



12.5 R.Steiner 著『色彩の本質・色彩の秘密』を読む 7(月一回)




私たちの周囲にはいつも色彩があります。今、私たちがいる目の周りを見渡してみるだけでも、様々な色を知覚することができます。しかし、例えば自分の周りに彩色された色が、何故その色によって彩色されたのか、と問われれば、それに答えることは難しくなってきます。

眼を転じ、例えば青い空を眺めることができます。そこには白い雲があり、地表には緑の植物が生い茂っています。何故青なのか?と問いたくなります。何故雲の色は白でなければならなかったのか?他の色でも良かったのではないのか?と問いたくなります。しかし大概はそのような純粋な問を抱くのは子供のときだけで、大人になるにつれてそのような問は忘れ去られます。