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ベルギーの首都ブリュッセルの夜 Foto: Romain Ballez |

少しでも色彩に興味がある者は、光に対して無関心ではいられない。
アメリカの発明王、トーマス・エジソンによって電球が発明されたのは1879年のことだと言われているから、それ以前に人類は電気による光源を知らなかったことになる。我々は太陽から来る光を「自然光」と呼ぶことに慣れているが、電気による「不自然な」光が一般的なものとなるまでは人工の光と「自然な」光を区別する必要も無かったのだ。確かに、文明開化の象徴と言われたガス灯の歴史は電球のそれよりも一世紀長いし、蝋燭やランプは紀元前から知られている。しかし、それらは飽くまでも「火」であって、「光」の要素は余り強くない。何れにせよ永い人類の歴史に於いて、太陽以外の「不自然な」光源から色彩が生じるようになったのは、最近のことである。そして色彩について考えるとき、光源についても考察しなければいけない状況もまた、現代特有の問題であるといえる。