2012年1月20日金曜日

ミュンヘンより新年明けての御挨拶






2011年9月キプロス島にて. photo by Kazuhiko Yoshida.



Shikoku Anthroposophie-Kreisの顧問役であり、ドイツ・ミュンヘン在住の吉田和彦氏・恵美夫妻から、年明けに新年明けての御挨文が届き、同封されていた非常に美しい写真と、心温まりながらも深く考えさせられる内容の文章を受け取った時、ぜひ広く皆様にもご紹介したいと思い、吉田氏に打診を行った所、潔く受け入れて下さったので同封されていた美しい写真と共にその文章を皆様にここでご紹介したいと思います。



ミュンヘンより新年明けての御挨拶

考えさせられる様々な出来事が起こった2011年でした。

東日本大震災に於いては、恵美の故郷・石巻が大きな被害を受けましたが、北上川沿いにある生まれ育った地域は、対岸の堤防が決壊した為に、かろうじて津波から免れました。が、孤立したその地域とは1週間も連絡が不通となり、両親や親戚、そして友人たちの安否を気遣う日々が続きました。こうした個人的事情も重なって、昨年の大震災は、遠いドイツにいながら、とても身近な出来事となりました。
それ以来ミュンヘンではチャリティーコンサートや書道の展覧会、そして8月に帰郷した恵美の報告会などを催し、その度に多くの義援金を集めましたが、そうした活動の中で忘れかけていた友人や新しい友人との輪が広がったことは、不幸から生まれた幸いとなりました。

震災直後、想像を絶する困窮の中にありながら、水や食糧の配給を受ける為に、何時間も秩序を乱さずに列を成す日本の人々の姿は世界中に感動を与えました。が、それとは対照的に、福島原発事故に於ける東京電力や日本政府のずさんな対応、そして信頼のおけない様々な報道に対して、欧米諸国は「先進国である筈の日本が何故?」と、理解に苦しんでいます。 例えば、福島周辺のみならず、東京地方までをも含めた放射能汚染状況については、日本で発行されている英字新聞『ジャパン・タイムズ』やドイツの新聞・メディアが報じる情報と、日本で報じられている情報の間にかなりの違いがあります。結局どの情報を信じてどう行動すれば良いのかは一人一人の判断に委ねられています。

福島原発事故の«お陰»で、ドイツ連邦議会は、2022年までに国内の原発をすべて停止し、自然エネルギーや天然ガスによる火力発電などで代替する法案をすぐに可決しました。しかしこの脱原子力の背景には、福島の事故だけではなく、これまでのドイツで何年もの間に行われてきた原発反対デモや署名運動に参加してきた一人一人の力が働いています。この一人一人が信念を持って耕してきた土壌無しでは、今回の法案は考えられないことでした。福島原発事故の直後も、ドイツの各都市で数万人規模の脱原発デモが行われ、参加者は『光の輪』と呼ばれる大きな円陣を組んで街を取り囲み、手にしたろうそくに明かりを灯し、日本の復興を願いながら、世界平和の為に祈りを捧げました。

そうした祈りにも拘わらず、その後7月にノルウェー/オスロ近郊のウトヤ島で悲惨な乱射殺人事件が起こり、69人もの若い命が散りました。しかし、その犠牲者追悼式に於いてノルウェー首相イエンス・ストルテンベルグは「今回起こったことは未だに我々を震撼させている。だが我々は自身の本質的価値を失ってはならない。今回の悲劇に対する我々の対応は、より多くの民主主義、寛容さ、そしてヒューマニズムであり、ただ悲嘆にくれることではない。」 と語り、悪や考え方の違いを単に報復によって罰するのではなく、全てに対して心を開いて理解していかなくてはならないことを主張し、多くの人々に感動を与えました。更に「たった一人の人間がこれだけの憎悪を表すことが出来るのだったら、私たち一人一人が共に力を合わせた時にどれだけの大きな愛をもってその憎悪に向かい合うことが可能だろうか!?と語った社会民主党青少年部に所属する少女の言葉を引用し、より深い感銘を与えました。

2012年も容易な年にはならないでしょう。そんな時、一人一人が目覚めた意識で状況を判断し、正しい方向へ進んでいく努力をすることが出来るようにとの願いを、私たちが今まで見た中で一番素晴らしかった日の出の写真に込め、新年の御挨拶として皆様にお送りさせて頂きます。

吉田 和彦 恵美





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